ジューン・カノン

 ジューン・カノンという作家は多くのそれに漏れず偏執的である。そのくせ的を絞ることが出来ない。彼方へ此方へと、妄想の蔓は伸び放題。存在するもの全てに可能性を感じ、いつも落ち着かない。作品にサインを入れた途端、破滅的な衝動を抑えるのに苦労するタイプ。それでもやはり、鬱積する日々は老廃物のように放出しなければならないらしく、なるべく身近なもので、手早く安易にそれは行われる。そもそも作家というのも怪しいのだが、これ以上に都合の良い言葉が見つからない。

 この猥雑な展示は「日の丸=ボタン(スゥイッチ)」を出発点に派生した、あるいはひねくり出したイメージの見せしめに過ぎない。感動や賞賛は必要なく、ジューン・カノンはむしろ笑いを乞うピエロに近いモノかもしれない。

 …という概念。国籍などは追々。